第2話「はじめてのおうごんすい」


「羅生門、俺ぁおまえのことが……」
「冥王よ、そなた、わらわにこのようなことをしてただで済むと思っているのか?」
「そのしわがれた声も、華奢な体躯も、横柄な態度も、おまえの全部が好きなんだ。愛している、羅生門」
「ちょ、ちょっと待つのだ冥王。わらわは子供ではなかったのか? そなた、いつもわらわを子供扱いして馬鹿にしておったではないか」
「それがどうしたってんだよ。好きだからこそ、いじめたくなる。俺も幼稚だが、そういうもんだろうが」
「め、冥王……そなた、本気で……?」
「くぅ、潤んだ瞳もかわいいぜ、羅生門。あぁ、俺ぁ本気でおまえのことを愛している。おまえが欲しい。っつうか犯したい。今すぐに。ここで」
「ストレートなヤツだな……どうせわらわの意志など関係がないのであろう?」
「いや、おまえの意志ならもうわかっている。俺たちゃ相思相愛ってやつだ」
「恥ずかしいヤツめ……よかろう。だが、わかっておるな?」
「なにをだ?」
「……察しの悪いヤツめ。わらわは……はじめてなのだぞ」
「なっ……そ、そうか。考えてみれば年齢的にはまだ小学生なんだものな。そりゃはじめてで当然か」
「羽、羽夢。だから、その……」
「わかってるって。優しくする」
「あ……ん、わかっているなら、良いのだ。あ、んむっ」
「ん……羅生門っ……」
「ん、ぷはぁ……はぁ、はぁっ」
「す、すまん。苦しかったか?」
「なんなのだ、今のは……」
「え? なにって、キス……なんだけど」
「キス? くちづけというものか?」
「あぁ」
「う、嘘をつくな! またわらわを子供扱いして騙そうとしたな! くちづけとはお互いの唇と唇を重ねるものだ。そなたは今、その……し、舌を差し込んできたではないか!」
「あ……あっははははは!」
「何を笑っているか! 何がそんなに可笑しい!?」
「顔を真っ赤にして怒るおまえの顔がだよ。羅生門、何にも知らねぇんだな」
「なにがだ!」
「あのな、キスってのは確かに唇を重ねるものだ。だけど、大人のキスはそれだけじゃ終わらないんだ」
「大人のキス? なんだ、それは」
「さっきみたいに、お互いの舌を絡め合うんだ」
「なっ……だ、だが、私はさっき、すごく変な気分がしたぞ」
「その変な気分を楽しむんだよ。さ、おとなしくしてな。キスができないと、いつまでも子供のままだぞ?」
「むぅ……キ、キスぐらい、できる」
「そうか。いい子だな、羅生門は。いくぞ」
「んむ、ふぅ……んぢゅ」
「そう……ん……柔らかいな、羅生門の舌は」
「んっ、むはぁ、は、んんぅ、んっ!」
「ぷはっ、ど、どうした、羅生門。急に倒れて」
「んはっ……はぁはぁ、ぐっ……」
「おい、どうしたんだよ。おまえ、汗びっしょりだぞ!」
「はぁはぁ……ひ、ひざに力が入らないのだ。なぜだか、頭も熱くて……」
「羅生門? うわ、なんだこれ。ら、羅生門……」
「え? うわわわわ、み、見るな見るな見るな! わらわの脚を見るな馬鹿者!!」
「……ははは、快感のあまりちびっちまったか? かわいいな、羅生門」
「快感……? これが、快感だというのか?」



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